糖尿病の検査方法について正しく知ることは、自分自身や家族の健康を守る第一歩です。健康診断で「血糖値が高め」と言われた、疲れやすさが気になる、家族に糖尿病の人がいる――そんなとき、糖尿病の検査を受けるかどうかは非常に重要な判断です。この記事では、医療現場で実際に行われる主な検査方法とその意味、診断の基準、そして検査を受ける際に知っておきたいことを、厚生労働省や日本糖尿病学会の情報に基づきわかりやすく解説します。
糖尿病の検査方法でわかることとは？
糖尿病の検査では、血糖値やヘモグロビンA1cなどを測定することで、血液中のブドウ糖の状態や、過去1〜2か月間の血糖コントロールの状況を知ることができます。これにより、糖尿病かどうかを判断したり、予備軍として生活改善が必要かどうかを確認することができます。
糖尿病の検査が重要な理由
糖尿病は「サイレントキラー」と呼ばれるように、初期の段階では自覚症状がほとんどありません。気づかないうちに進行し、合併症として目・腎臓・神経などに深刻なダメージを与える恐れがあります。そのため、早期の発見と適切な管理が極めて重要です。
糖尿病の診断に使われる5つの検査方法
以下の5つが、医療機関で糖尿病の診断や評価に用いられる代表的な検査項目です。それぞれの目的や測定タイミング、注意点について順番に解説します。
1. 空腹時血糖値（FPG）
朝食を摂らずに8時間以上絶食した状態で採血し、血液中のグルコース濃度を測定します。基準値は99mg/dL以下。126mg/dL以上の場合、糖尿病が疑われます。
2. 随時血糖値
食事時間に関係なく測定される血糖値です。通常200mg/dL以上であれば糖尿病の可能性が高くなります。診察時に体調不良を訴えている場合などに使用されることもあります。
3. HbA1c（ヘモグロビンA1c）
HbA1cは、過去1～2か月間の平均的な血糖状態を反映する数値で、国際的にも糖尿病診断の重要な指標です。基準値は6.5%以上で糖尿病と診断される可能性があります。
4. 75g経口ブドウ糖負荷試験（OGTT）
空腹時の血糖値を測定した後、75gのブドウ糖を含む水溶液を飲み、30分・1時間・2時間後の血糖値を測定する試験です。糖尿病予備軍や軽症糖尿病の診断に有効です。
5. 尿糖・尿中ケトン体検査
尿中に糖が漏れていないかを確認する検査です。血糖値が高すぎて腎臓で処理しきれない場合に尿糖として排泄されます。また、糖尿病が進行している場合、ケトン体が出ることもあります。
糖尿病の診断基準と検査後の流れ
糖尿病の診断には、前章で紹介した検査結果を組み合わせて評価します。特に空腹時血糖値とHbA1cの両方が基準値を超えている場合は「糖尿病型」とされ、再検査や追加検査の上で正式に糖尿病と診断されます。
厚生労働省や日本糖尿病学会では、以下のような診断基準が用いられています（2023年時点）：
- 空腹時血糖値：126mg/dL以上
- 随時血糖値：200mg/dL以上
- HbA1c：6.5％以上
- 75gOGTT（2時間値）：200mg/dL以上
※上記のうち2つ以上が該当した場合、糖尿病と診断されることが多くなります。
検査前に知っておきたいポイント
糖尿病の検査方法を正確に理解しておくことで、事前の準備や不安の軽減にもつながります。特に以下の点に注意が必要です。
検査前は食事制限がある場合も
空腹時血糖や75gOGTTなど、一部の検査は「前日21時以降の絶食」が求められます。水分摂取は可能ですが、甘い飲み物やアルコールは避けてください。
健康診断と医療機関での検査の違い
一般的な健康診断では「スクリーニング」として簡易的な検査が行われます。一方、医療機関での検査はより詳細かつ正確であり、診断・治療方針の決定に直結します。
検査後にどうする？結果に応じた対応方法
検査の結果、以下のような対応が取られるのが一般的です：
- 正常：年に1回の健康診断を継続
- 境界型（予備軍）：食事・運動など生活改善の指導
- 糖尿病型：追加検査・内科受診・初期治療の開始
境界型と診断された場合でも、放置せずにライフスタイルの見直しを行うことが、将来的な糖尿病の発症予防に非常に有効です。
信頼できる情報を確認しよう【外部リンク】
糖尿病の検査や診断方法についてさらに深く知りたい方は、以下の公的機関の公式サイトを参考にするのがおすすめです。正確かつ最新の情報が掲載されています。
まとめ
糖尿病 検査方法についての正しい理解は、早期発見と適切な対処の第一歩です。検査でわかること、診断基準、受ける前後の注意点までを知っておくことで、不安を軽減し、前向きに健康管理に取り組むことができます。気になる症状がある方、健康診断で指摘を受けた方は、迷わず医療機関での検査を受けることをおすすめします。
Q&A｜糖尿病検査に関するよくある質問
- Q検査だけでも内科を受診して大丈夫ですか？
- A
はい、大丈夫です。体調に不安がある場合や糖尿病が心配な場合、「血糖値の検査を受けたい」と伝えれば対応してもらえます。
- Q検査にかかる費用はどのくらいですか？
- A
保険適用であれば、基本的な検査は1,000円〜2,000円程度です（3割負担）。OGTTを含めると3,000円前後になることもあります。
- Q健康診断の結果だけで糖尿病と診断されますか？
- A
いいえ。健康診断の結果はスクリーニング（予備チェック）です。正式な診断には医療機関での再検査が必要になります。
検査結果を前向きに受け止めるために
糖尿病の検査で異常値が出たとしても、それは「今、気づけた」ことを意味します。早い段階で知ることができれば、生活習慣の改善や医療によって、症状をコントロールしながら健康的な生活を続けることが十分に可能です。
不安を感じたときこそ、正しい情報と専門家のサポートを得ることが大切です。ひとりで抱え込まず、家族や医師に相談しながら、少しずつ自分のペースで健康管理を始めていきましょう。
